【コラム⑭】スレート屋根のアスベスト見分け方|製造年代と確認のポイント
古いスレート屋根の改修や解体を検討するとき、避けて通れないのがアスベストの問題です。アスベストを含む屋根材を不用意に扱うと、繊維が飛散して健康被害につながる恐れがあり、撤去には法的に定められた手順が求められます。この記事では、スレート屋根にアスベストが含まれているかどうかを見分けるための手がかりを、製造年代、製品名、屋根材裏面の表示という三つの観点から整理します。そのうえで、自己判断の危険性と、アスベストを含む屋根を安全に改修する方法を解説します。読み終えたとき、自社や自宅の屋根にアスベストの可能性があるかを大まかに把握し、次に取るべき行動を判断できる状態を目指します。
そもそもアスベストとは何か、なぜ問題になるのか
見分け方を知る前に、なぜアスベストがこれほど慎重に扱われるのかを理解しておく必要があります。理由が分かれば、自己判断で済ませてはいけない場面を正しく見極められるからです。
アスベストは石綿とも呼ばれる天然の鉱物繊維で、耐熱性や耐久性に優れているため、かつて建材の補強材として広く使われていました。スレートも、セメントに繊維を混ぜて板状に成形する際にアスベストが用いられていた時期があります。問題なのは、その極めて微細な繊維を吸い込むと、肺がんや中皮腫といった深刻な健康被害を、数十年の潜伏期間を経て引き起こすことが確認されている点です。屋根材が健全で破損していない状態では繊維は飛散しにくいものの、改修や解体で屋根材を割ったり削ったりする際に飛散の危険が高まります。だからこそ、工事の前にアスベストの有無を確認することが法的にも求められています。
見分け方その1:製造年代で大まかに判断する
最初の手がかりは、建物が建てられた年代です。アスベストの使用は法律によって段階的に規制され、最終的に全面禁止されたため、製造年代がひとつの目安になります。
スレート建材にアスベストが使用されていたのは、おおむね1930年代から2004年までとされています。2004年に石綿の製造と使用が大きく制限され、それ以降はノンアスベスト製品へと切り替わりました。したがって、2004年より前に建てられた建物のスレート屋根は、アスベストを含んでいる可能性があると考えるのが基本です。
ただし、製造年代だけで断定はできません。1990年代後半から、一部のメーカーは規制に先んじてノンアスベスト製品の開発と流通を始めていたため、2004年以前の建物でもアスベストを含まない場合があります。逆に、年代から含有が疑われても、実際には別の製品が使われていることもあります。年代はあくまで第一の目安であり、最終的な判断には次に述べる製品名や裏面の確認が必要です。
| 製造年代 | 特徴・注意点 |
|---|---|
| 2004年以前 | アスベストを含む可能性あり(撤去時に専門業者が必要) |
| 2004年〜2008年頃 | 初期のノンアスベスト製品(耐久性がやや劣る場合がある) |
| 2008年以降 | 改良されたノンアスベスト製品(耐久性が向上) |
1990年代後半以降は一部メーカーが先行してノンアスベスト化しており、年代だけでは断定できません。
見分け方その2:製品名とデータベースで照合する
年代だけでは確定できないため、次に有効なのが製品名による照合です。屋根材の製品名やメーカーが分かれば、公的なデータベースで含有の有無を調べられます。
国土交通省と経済産業省が共同で公開している石綿含有建材データベースでは、製品名やメーカー名から、その建材がアスベストを含むかどうかを照合できます。新築時の図面や仕様書、施工業者の記録に製品名やロット番号が残っていれば、これらを使って調べるのが確実な方法のひとつです。住宅用の平板スレートでは、ケイミュー(旧クボタや旧松下電工)のコロニアルやカラーベストといった製品名が広く流通しており、これらの一部にアスベストを含む製品が存在します。
注意したいのは、データベースに掲載されていないことが、アスベストを含まないことの証明にはならない点です。データベースはすべての建材を網羅しているわけではありません。また、図面に特定の製品名が記載されていても、実際には性能の似た別の製品が使われている場合もあります。製品名による照合は強力な手がかりですが、これだけで安心せず、必要に応じて専門機関の分析と組み合わせることが重要です。
見分け方その3:屋根材裏面の製造番号・表示を確認する
製品名が分からない場合の手がかりとして、屋根材の裏面に記された製造番号や表示があります。屋根材を製造する際に刻印された情報から、製造時期や製品を特定できることがあります。
アスベストを含む一部の製品では、屋根材の裏面に製品番号とともに、石綿を示す記号が記されている場合があります。製造番号が読み取れれば、それをもとに製品を特定し、含有の有無を調べることも可能です。ただし、この確認には屋根材を一度はがす必要があり、高所での作業と屋根材の破損による繊維飛散という二重の危険を伴います。
自己判断の危険性と、専門調査の重要性
ここまで三つの見分け方を紹介してきましたが、いずれも可能性を絞り込むための手がかりであり、アスベストの有無を確定するものではありません。最終的な判断は、専門機関による調査と分析に委ねる必要があります。
外観や築年数だけでアスベスト含有の有無を見極めるのは困難です。ノンアスベスト製品とアスベスト含有製品は外観が似ていることも多く、遠目には区別がつきません。確実なのは、専門の調査機関が試料を採取して分析する方法です。工事の前にこの調査を行うことは、作業者と周辺環境の安全を守るために不可欠であり、法令上も求められる手続きです。可能性が少しでもあるなら、自己判断で工事を進めず、まず専門業者に相談することが、結果的に最も安全で確実な道になります。
アスベストを含む屋根を安全に改修する方法
では、アスベストを含むスレート屋根が見つかった場合、どう改修すればよいのでしょうか。改修の方法は大きく二つあり、それぞれアスベストの扱いが異なります。
ひとつは、既存の屋根材を撤去して新しい屋根に葺き替える方法です。屋根を一新できる一方で、アスベストを含む屋根材を撤去・処分する際には、飛散を防ぐための専門的な処理と、資格を持つ業者による作業が必要となり、費用も高くなります。
もうひとつが、カバールーフ工法です。既存の屋根材を撤去せず、その上から新しい金属屋根材を重ねて葺くため、アスベストを含む屋根材をそのまま覆って封じ込めることになります。撤去に伴う繊維飛散のリスクを抑えられるうえ、撤去費用や廃材処理費もかからないため、アスベストを含む屋根の改修において現実的な選択肢になります。
ヤマトC&Cのヤマトカバールーフ650は、創業70年の波形スレート専門メーカーが開発したカバールーフ工法材です。既存スレートを撤去せずに改修できるため、アスベスト飛散のリスクを抑えながら屋根を一新できます。さらに、山頂のリブと谷の折れ部分の二点で支える形状により、既存スレートと合わせて約1トン以上の耐荷重を実現し、屋根の強度そのものを底上げします。改修後は既存スレートとの間に生まれる空気層によって断熱性も向上するため、安全性と性能の両面で利点があります。屋根に上がる危険を避けて状態を確認したい場合には、ヤマトC&Cが提供するドローン屋根点検サービスも活用できます。
よくある質問
まとめ:手がかりで可能性を把握し、確定は専門機関に委ねる
スレート屋根のアスベストを見分ける手がかりは、製造年代、製品名による照合、屋根材裏面の表示の三つです。2004年以前の建物は含有の可能性があると考え、製品名が分かれば公的なデータベースで照合できます。ただし、いずれも可能性を絞り込むためのものであり、外観や築年数だけで確定することはできません。
最も重要なのは、自己判断で工事を進めないことです。屋根に上がって自分で確認する行為は重大な危険を伴い、含有の確定には専門機関による調査と分析が欠かせません。アスベストの可能性があるなら、まず専門業者に相談することが、安全と確実さの両方を満たす唯一の道です。
ヤマトC&Cは、創業70年以上のスレート専門メーカーとして、ノンアスベストの波形スレートであるファイバーコルゲートや、既存屋根を撤去せず改修できるカバールーフ工法材のヤマトカバールーフ650を、開発から製造、販売、施工まで一貫体制で提供しています。ドローン屋根点検による状態確認から、アスベスト飛散リスクを抑えた改修のご提案まで一貫して相談できますので、古いスレート屋根のアスベストでお悩みの際は、ぜひヤマトC&Cまでお問い合わせください。
※本記事は時点の情報に基づく一般的な解説であり、特定の屋根材のアスベスト含有の有無を判定するものではありません。確定には専門機関による調査・分析が必要です。最新情報はヤマトC&C公式サイトまたはお問い合わせにてご確認ください。



