新着情報

NEWS

NEWS MENU

月別アーカイブ

【コラム㉚】太陽光照明とはなに?|明るい職場に太陽光照明という選択肢

工場や倉庫の中で、天気のいい日でも照明を全灯にしたまま作業をしている。

しかし、暗い工場内で作業するのは環境が良くないから困っている。

など、電気代の明細を見て、「照明だけでこんなにかかっているのか」と気になる、または天窓をつければいいと聞いても雨漏りが心配で踏み出せない、という声もよく聞きます。

この記事では、電気を使わずに自然光で明るさを確保する「太陽光照明」について、仕組みから費用の目安、導入時に気をつけたい点までを整理しました。

その照明、昼間もつけっぱなしになっていませんか

工場や倉庫の照明は、始業から終業まで全灯をつけたままという運用になっている現場が少なくありません。窓が少ない大型の建屋では、天気に関係なく照明に頼らざるを得ない事情もあります。

ただ、晴れた日の昼間だけでも照明を落とせないか?と考えたことはないでしょうか。

屋根の一部を光を通す素材に変えるだけで、電気をつけなくても作業に必要な明るさが確保できる現場は実は少なくありません。

太陽光照明とは何か|自然光を室内に取り込む仕組み

太陽光照明とは、電球やLEDを使わずに、屋根や壁に設けた採光部分から自然光を取り込んで室内の明るさを確保する方法です。

天窓(トップライト)や、光を通す波板を屋根材の一部に組み込む採光波板が代表的な手段になります。

仕組みは単純で、屋根材の一部を光を通す素材に置き換えるだけです。

ポリカーボネートやFRP(繊維強化プラスチック)の波板は金属屋根や通常のスレートと違って光を通すため、差し込むだけで室内に自然光が入ってきます。真上からの光は側面の窓よりも建屋の奥まで届くため、壁の窓より少ない面積で効率よく明るさを確保できます。

電気照明との違いと、期待できる節約効果の目安

電気照明は明るさをコントロールしやすく、天候や時間帯に左右されません。

その代わり、稼働している限り電気代がかかり続けます。太陽光照明は電気代がかからない一方、天候や時間帯によって明るさが変わるため、完全に置き換えるものではなく、日中の照明を減らす目的で使うのが現実的です。

どれくらい節約できるかは、採光部分の面積や建屋の高さ、業種によって差があります。

天窓・採光ドーム・採光波板の違いと選び方

太陽光照明の方法は、大きく三つに分かれます。

屋根の形状や建屋の高さ、既存の屋根材によって向き不向きがあります。

▼ 表:天窓・採光ドーム・採光波板の違い
種類 特徴 向いているケース 注意したい点
天窓
(トップライト)
屋根に開口部を設け、ガラスや樹脂パネルをはめ込む 部分的にしっかり採光したい建物 開口部の防水処理が要になる
採光ドーム 半球状の樹脂パネルを設置し、光を広く拡散させる 天井が高い工場・倉庫 重量や強風時の破損対策が必要
採光波板 既存の波形スレートの一部を光を通す波板に差し替え 波形スレート屋根の建屋 経年での黄ばみ・強度低下がある

波形スレートの屋根であれば、既存の屋根材を大きく変えずに済む採光波板が扱いやすい方法です。屋根の形状自体を変える天窓や採光ドームは効果が大きい反面、開口部を新設する分、工事の規模も大きくなります。

既存の屋根に後付けするときに確認したいポイント

すでにある屋根に採光材を追加する場合、まず屋根の状態を確認する必要があります。

波形スレートの屋根であれば、既存の波板と同じピッチの採光波板を選ばないと、つなぎ目にすき間ができて雨が入り込みます。

築年数が古い工場では、既存のスレートにアスベストが含まれている可能性があります。

また、屋根に載せられる重さにも限度があります。採光ドームのような立体的な形状は風の影響も受けやすいため、建物の構造や地域の風速条件に合っているかどうかも、事前に確認しておきたいところです。

雨漏り・断熱・まぶしさへの対策は必須

採光部分は、屋根の中でも雨漏りが起きやすい箇所です。

既存の屋根材と採光材のつなぎ目にすき間があるとそこから水が入り込みます。施工の精度がそのまま数年後の雨漏りリスクに直結するため、実績のある業者に任せたほうが結果的に安心です。

断熱性も見落とせません。

光を通す素材は金属屋根に比べて熱を伝えやすいものもあり、夏場は直下の温度が上がりやすくなります。断熱層のあるタイプを選ぶ、設置場所を作業エリアの外に寄せるなど、現場に合わせた工夫が必要です。チューブがアルミ製で熱を逃がしやすいソーラチューブも、暑さを避けたい区画では候補に入ります。

まぶしさについても注意が必要です。

機械の操作や検査作業をしているエリアの真上に設置すると、光が強すぎてかえって作業しづらくなることがあります。作業内容と照らし合わせて設置する位置を決めることが欠かせません。

導入費用の相場と、費用を回収するまでの考え方

導入費用は、採光材の種類と施工面積によって幅があります。

既存の波形スレートを採光波板に差し替える工法であれば、1平方メートルあたり1万円から2万円程度が目安です。天窓や採光ドームを新設する場合は、開口部の補強も必要になるため、1か所あたり10万円から30万円程度かかることもあります。いずれも屋根の高さや足場の要否で変わるため、実際の金額は現地を確認したうえでの見積もりで確かめてください。

費用をどれくらいの期間で回収できるかは、これまでの照明の使用時間と電気料金によって変わります。24時間稼働で照明をほとんど落とせない現場ではメリットが小さくなりますが、日中のみ稼働している工場や倉庫であれば、照明費の削減分が数年単位で施工費に近づいていくケースもあります。

太陽光発電との違い|どちらを検討すべきか

太陽光照明と混同されやすいものに、太陽光発電があります。

太陽光発電は太陽光パネルで電気をつくり、その電気で照明や設備を動かす仕組みです。太陽光照明は、電気に変換せず光そのものを室内に取り込む点が異なります。

どちらも屋根を使う点は共通していますが、目的が違います。電気代そのものを減らしたいなら太陽光発電、日中の照明にかかる負担を軽くしたいなら太陽光照明という整理になります。屋根の面積や構造によっては、両方を組み合わせて検討する工場もあります。

よくある質問

Q

太陽光照明を入れれば、昼間の照明はすべて消せますか?

A

すべて消せる現場は多くありません。天候や時間帯で明るさが変わるため、必要な照度を確保できない時間帯は電気照明が要ります。全灯での運用から、晴天時は間引き点灯へ切り替える、という使い方が現実的です。

Q

波形スレートの屋根にも後付けできますか?

A

できます。既存の波板と同じピッチの採光波板に差し替える方法であれば、屋根の形状を変えずに採光部分をつくれます。ピッチが合っていないとつなぎ目にすき間が残るため、既存屋根材の寸法を確認してから部材を選びます。

Q

採光部分から雨漏りしませんか?

A

施工の精度で差が出る箇所です。採光部分は屋根材と別の部材を組み合わせるため、納まりが甘いと数年後の漏水につながります。屋根材そのものを扱っている業者に依頼し、既存屋根との取り合いまで含めて施工してもらうほうが安心です。

Q

夏場に室温が上がりませんか?

A

光を通す素材は熱も通しやすいため、設置位置と部材の選び方で差が出ます。断熱層のあるタイプを選ぶ、作業エリアの直上を避けるといった調整で影響を抑えられます。熱の影響を避けたい場合は、光だけをチューブで室内に導く「ソーラチューブ」という選択肢もあります。

Q

アスベストを含むスレート屋根でも工事できますか?

A

工事の前に含有の有無を調べる必要があります。含有していた場合も、切断や穴あけを伴う作業では法令に沿った措置をとったうえで施工します。まず調査で状態を確定させ、そのうえで工法を決める流れになります。

まとめ:まずは屋根の状態を知ることから

検討を始める際の手順についてまとめました。

屋根の一部を光を通す素材に変えるだけの工事ですが、雨漏りや強度の面では専門的な知識が求められます。既存の屋根材との相性を見極めながら進めることが、後々のトラブルを避けることにつながります。

屋根は、判断を先送りするほど選べる手が減っていきます。まだ検討中の段階でかまいませんので、一度現状を見てもらうところから始めてみてください。