【コラム㉘】屋根材の種類は工場に合っていますか?|特徴と選び方
新しく工場を建てる、あるいは屋根の葺き替えを考えたとき「屋根材は何種類もあるけれど、結局どれを選べばいいのか分からない」と感じたことはありませんか?
カタログを取り寄せても専門用語が並ぶだけで、比較する軸がよく分からないまま検討が止まってしまうこともあるかもしれません。
この記事では、工場・倉庫でよく使われる屋根材の種類を整理し、何を基準に選べばいいのかが分かるところまでまとめました。
工場・倉庫の屋根に求められる条件とは
住宅の屋根と、工場や倉庫の屋根とではそもそも求められる条件がかなり違います。
住宅なら見た目やデザイン性も選ぶ理由になりますが、工場・倉庫の場合は、まず大きな面積を限られたコストと工期でどう覆うかが出発点になります。
そのうえで、屋根の下でどんな作業をしているか、どのくらいの荷重を想定するか、塩害地域かどうかといった条件が加わってきます。屋根材の種類はこの条件によっておのずと絞られていきます。
波形スレートの特徴|コストと実績のバランス
波形スレートは、セメントを主原料にした波型の屋根材で、工場や倉庫の屋根材として古くから使われてきました。
コストを抑えやすいうえ、鋼板に比べて熱や雨音を伝えにくいため、今も新築・改修の両方で選ばれることが多い屋根材です。
以前は製造工程でアスベストが使われていた時期もありましたが、現在はノンアスベストの製品に置き換わっています。実績が長い分施工できる業者も多く、部材の調達で困りにくいという安心感もあります。
折板屋根の特徴|大スパンと軽量性
折板屋根は、鋼板を波型に成形した屋根材で、柱と柱の間隔を大きく取りたい建物によく使われます。波形スレートに比べて軽く、下地の骨組みを簡略化できるため、体育館や物流倉庫のような大空間の建物と相性がいい屋根材です。
一方で、金属特有の性質として雨音が響きやすい、断熱材を別途施工しないと夏場の室温が上がりやすいといった面もあります。用途に応じて断熱仕様を選ぶかどうかが快適性を左右します。
金属屋根材(ガルバリウム鋼板など)の特徴
ガルバリウム鋼板をはじめとする金属屋根材は、軽量で耐久性が高く錆びにくい表面処理がされているのが特徴です。
折板と同じく鋼板系の屋根材ですが、形状のバリエーションが豊富で意匠性を持たせた張り方をすることもできます。
屋根材ごとの耐用年数とメンテナンスの違い
屋根材の耐用年数は、波形スレートで25年から35年程度、折板やガルバリウム鋼板などの金属屋根材で30年から40年程度が一般的な目安とされています。
ただし、これはあくまで目安でメンテナンスの頻度や環境条件によって変わります。
波形スレートは劣化が緩やかに進むため、定期的な点検と部分補修で長く使いやすい一方、金属屋根材は塗装の劣化やボルトの緩みなど、定期的な増し締めや再塗装が欠かせません。どちらが優れているというよりメンテナンスの手間をどこまでかけられるかで選び方が変わってきます。
断熱・遮熱性能で選ぶときの視点
工場・倉庫の屋根で見落とされがちなのが、断熱・遮熱性能です。
屋根は建物の中でもっとも日射を受ける面積が大きく、屋根材の性能次第で室内の暑さがまったく変わってきます。
波形スレートはセメントを主原料とする分、鋼板よりは熱を伝えにくい屋根材です。ただし本格的な断熱を求める場合は、裏面に硬質ウレタンフォームを組み合わせた断熱一体型のスレートを選ぶ方法があります。金属屋根材の場合は、裏面に断熱材を張って対応するのが一般的です。空調にかかる電気代を左右する部分でもあるため、材料費だけでなく断熱仕様を含めたトータルコストで比較したほうがあとで後悔しにくくなります。
コストで比較する|初期費用とランニングコスト
初期費用だけで見ると波形スレートは比較的抑えやすく、折板や高耐久な金属屋根材はやや高くなる傾向があります。
ただし、初期費用が安くてもメンテナンスの頻度が高ければ、20年、30年という単位で見たときの総コストは逆転することもあります。
屋根材の種類別 比較表
| 屋根材 | 耐用年数の目安 | 初期費用 | 断熱性 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| 波形スレート | 25〜35年程度 | 抑えやすい | 鋼板より熱を伝えにくい | コストを抑えつつ長く使いたいとき |
| 折板屋根 | 30〜40年程度 | 中程度 | 別途断熱施工が必要 | 大スパンの空間を確保したいとき |
| ガルバリウム鋼板等 | 30〜40年程度 | やや高め | 別途断熱施工が必要 | 意匠性や耐久性を重視したいとき |
屋根材選びで確認しておきたいポイント
種類を把握したあとに確認しておきたいのが建物の使い方との相性です。
倉庫であれば重量物の保管による荷重、工場であれば設備からの熱や振動、店舗を併設するなら見た目の印象など、建物ごとに優先順位は変わってきます。
もう一つ大事なのが、施工実績のある業者に相談することです。
屋根材にはそれぞれ適した施工方法があり、慣れていない業者が扱うと雨漏りや早期劣化の原因になりかねません。カタログの数字だけでなくその屋根材を長く扱ってきた業者の意見を聞くことが、選定の精度を上げます。
よくある質問
まとめ:屋根材選びに迷ったときの判断フロー
ここまでの内容を判断の手順として整理します。
屋根材選びは一度決めると数十年単位でつき合っていくことになります。種類が多くて迷ってしまう段階でもかまいませんので、まずは今検討している条件を伝えるところから始めてみてください。



