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【コラム㉑】工場・倉庫の結露対策|屋根・天井に水滴が発生する原因と改善方法

冬の朝、工場に入ると天井から水滴が落ちている。倉庫の床が濡れているので原因をたどると、屋根の裏側がびっしりと濡れていた。こうした現象は雨漏りと間違われやすいのですが、実際には結露であることが少なくありません。雨が降っていないのに水が落ちる場合は、まず結露を疑う必要があります。

結露は放置しても自然に収まるものではなく、製品の汚損や設備の錆、建物の腐食へと被害が広がっていきます。しかも除湿機を増やしたり換気扇を回したりしても、根本の原因が屋根側にある限り再発します。この記事では、工場や倉庫の屋根と天井に結露が起こる仕組みを整理したうえで、屋根材メーカーの視点から、現場で効果が出やすい対策を順に解説します。

工場・倉庫で起こる結露とは何か

対策を選ぶ前に、結露がどのような条件でできるのかを押さえておく必要があります。仕組みを理解すると、なぜ除湿だけでは止まらないのかも見えてきます。

結露は空気が冷やされたときに起こる

空気が含むことのできる水蒸気の量は、温度によって決まっています。温度が高いほど多くの水蒸気を含み、温度が下がるほど含める量は少なくなります。含みきれなくなった水蒸気が水に変わる温度を露点温度と呼びます。

結露とは、空気が露点温度以下に冷やされた面に触れ、水蒸気が水滴へと姿を変える現象です。ここで重要なのは、結露の発生には空気中の水分量と、その空気が触れる面の温度という2つの条件がそろう必要があるという点です。湿度が高いだけでは水滴にはならず、冷たい面があってはじめて結露します。逆にいえば、冷たい面をなくせば同じ湿度でも結露は起こりません。

屋根と天井は建物のなかで最も冷えやすい

工場や倉庫の屋根は、建物のなかで唯一、外気と正面から向き合っている部分です。とくに冬の晴れた夜は放射冷却が働き、屋根の表面温度が外気温よりもさらに下がります。断熱層を持たない屋根材は、この冷たさをそのまま室内側の面に伝えます。

室内が暖かく、水蒸気を多く含んでいれば、冷え切った屋根の裏面は簡単に露点を下回ります。付いた水滴はやがて重みで落下し、天井からの水漏れとして認識されます。雨が降っていない晴れた日の朝に水が落ちるのであれば、雨漏りではなく結露と考えるのが自然です。

目に見える表面結露と、見えない内部結露

天井や屋根裏に水滴が付くのは表面結露です。これは目視で確認できるため、まだ気付きやすい部類に入ります。

やっかいなのは内部結露です。屋根材と断熱材のすき間や、外壁の内部といった見えない場所で水蒸気が水に変わり、鉄骨や下地を内側から錆びさせ、腐らせていきます。表面に症状が出るころには、構造材の断面が減っているという例もあります。表面結露が続いている建物は、内部結露も同時に進行していると考えて点検したほうが安全です。

工場・倉庫で結露が起きやすい条件

同じ地域に建つ工場でも、結露が深刻な建物とほとんど起きない建物があります。違いを生むのは、発生する水蒸気の量、季節や時間帯、そして建物側の条件という3つの要素です。

水蒸気が多く発生する業種

製造工程そのものが水蒸気を生む業種では、室内の絶対湿度が上がりやすく、結露のリスクが高くなります。

▼ 表1:結露が発生しやすい主な業種
業種 水蒸気が発生しやすい要因
食品工場 洗浄、加熱、蒸気を伴う工程が多い
印刷工場 湿し水を使用する
めっき、表面処理 薬液槽から常に水蒸気が上がる
製紙、繊維 工程上、湿度を高く保つ必要がある
畜舎(牛舎・豚舎・鶏舎) 家畜の呼気と排せつ物から大量の水蒸気が出る
冷蔵、冷凍倉庫の前室 温度差が極端に大きい

こうした建物では、水蒸気の発生量そのものを減らすことが難しい場合がほとんどです。だからこそ、冷たい面をつくらないという発想が対策の中心になります。

季節と時間帯によって結露の型が変わる

結露が最も多く報告されるのは、冬から早春にかけての明け方です。夜間に屋根が冷やされ、始業とともに人や機械が動いて室温と湿度が上がることで、一気に水滴が付きます。

一方、梅雨から夏にかけては逆の現象が起こります。冷房で冷やされた室内側の面に、外から入り込んだ高温多湿の空気が触れて結露するのです。これは夏型結露と呼ばれ、空調の効いた倉庫やクリーンルームで問題になります。冬と夏で原因の向きが逆になるため、片方だけを想定した対策では取りこぼしが生じます。

建物側にある構造的な原因

業種や季節の条件が同じでも、建物の造りによって結露のしやすさは大きく変わります。次のような条件に当てはまる場合、屋根そのものが結露を生みやすい状態にあると考えられます。

  • 屋根に断熱層がなく、波形スレートや折板を単板で葺いている
  • 天井を張っておらず、屋根の裏面が室内にそのまま露出している
  • 換気設備がない、または排気だけで吸気口が確保されていない
  • 屋根と外壁の取り合いにすき間があり、湿った空気が屋根裏へ回り込む
  • 既存の断熱材が経年で垂れ下がり、屋根材との間にすき間ができている

結露を放置すると何が起こるのか

結露は水滴という形で現れるため、拭き取れば済む問題として扱われがちです。しかし実際には、被害は製品、設備、建物、作業環境の4方向へ同時に広がります。

製品と在庫が直接の損害を受ける

落下した水滴は、保管中の製品や原材料を汚損します。段ボールは水を吸って強度が落ち、積み上げた荷が崩れる原因になります。金属部品であれば錆が発生し、そのまま出荷すればクレームにつながります。食品や医薬品を扱う現場では、カビの発生が衛生管理上の重大な問題となり、出荷停止に至ることもあります。

設備と電気系統に不具合が生じる

天井から落ちた水が制御盤や配線に入り込めば、漏電やショートを引き起こします。生産ラインが止まれば、その日の生産計画だけでなく納期にも影響します。精密機器や測定器を設置している区画では、湿気そのものが精度に影響することもあります。

建物の寿命が確実に縮む

結露水は鉄骨、母屋、ボルト、下地といった構造部材を継続的に濡らします。塗装が健全なうちは進行が遅くても、いったん錆が出はじめると加速度的に広がります。屋根材そのものにも影響があり、常に水分を含む状態が続くとスレートは劣化が早まり、ひび割れや欠損の原因になります。

作業環境と安全が損なわれる

床に水がたまれば転倒事故のリスクが上がります。フォークリフトが走行する動線であればなおさらです。加えて、湿った空気が常時滞留する環境は作業者にとって不快であり、カビによる健康への影響も無視できません。設備の問題であると同時に、労働環境の問題でもあるという認識が必要です。

結露対策の基本は換気・除湿・断熱の3つ

結露対策は、水蒸気を減らす、水蒸気を外へ出す、冷たい面をなくす、という3つの方向に整理できます。それぞれ役割が違うため、自社の状況に合わせて組み合わせることが必要です。

除湿は即効性があるが、広い空間では限界がある

除湿機の設置は、着手しやすく効果もわかりやすい対策です。ただし工場や倉庫のような大空間では、必要な処理能力を確保するために台数と電力を大きく増やさなければなりません。しかも屋根が冷え続けている限り、除湿機を止めた瞬間に結露は戻ります。局所的な対策としては有効ですが、これだけで根本解決を狙うのは現実的ではありません。

換気は湿気を建物の外へ運び出す

換気は、水蒸気を含んだ空気そのものを屋外へ排出する方法です。とくに暖かく湿った空気は上へ集まるため、屋根の頂部に排気の出口をつくると効率よく抜けます。

ここで見落とされやすいのが吸気です。排気だけを強化しても、新しい空気が入る経路がなければ空気は動きません。軒先や下部からの吸気と、棟部からの排気をセットで計画してはじめて、換気は設計どおりに働きます。

断熱は冷たい面そのものをなくす根本策

3つのなかで、結露に対して最も直接的に効くのが断熱です。屋根に断熱層を設ければ、外の冷たさが室内側の面まで伝わりにくくなり、表面温度が露点を下回らなくなります。冷たい面がなければ、湿度が高くても結露は起こりません。

屋根側からできる具体的な結露対策

ここからは、屋根に手を入れる立場から実際に選べる方法を挙げていきます。建物の状態と予算に応じて、単独でも組み合わせでも検討できます。

断熱材付きの屋根材に切り替える

最も確実なのは、屋根材そのものを断熱性のあるものに替える方法です。ヤマトC&Cの波形スレートには、スレート材の裏側に硬質ポリウレタンフォームを結合させたソフランスレートという製品があります。断熱性と非吸湿性を高めた省エネタイプで、大波と小波の両方をそろえています。

この製品はもともと、牛舎や豚舎、鶏舎のように水蒸気の発生量が多く、なおかつ結露が家畜の健康を左右する用途で使われてきました。断熱を必要とする工場や倉庫でも同じ考え方が通用します。屋根材と断熱材が一体になっているため、後から断熱材を吊る場合のような、すき間や垂れ下がりの問題が起こりにくいことも利点です。

カバールーフ工法で断熱と屋根更新を同時に行う

既存の屋根がすでに劣化している場合は、断熱だけを追加するより、屋根の更新と一体で考えたほうが合理的です。カバールーフ工法は、既存の屋根を撤去せずに、その上から新しい屋根材を重ねて葺く工法です。

換気棟やベンチレーターで湿気の出口をつくる

断熱を強化しても、室内の水蒸気の発生量が極端に多い建物では、湿気を抜く経路が別に必要です。屋根の最も高い位置に換気棟を設けると、上昇した暖かく湿った空気が自然に排出されます。動力を使わないため運転費がかからず、故障の心配も少ない方法です。

遮熱塗装と断熱は役割が違う

結露対策として遮熱塗装を検討される方は少なくありません。ここは誤解が生じやすいところなので、はっきりさせておきます。

結露対策を屋根改修と合わせて進める手順

屋根に手を入れる工事は、足場や仮設の費用がまとまってかかります。だからこそ、着手前の見極めと工事内容のまとめ方が、最終的な費用対効果を大きく左右します。

現状の把握:どこで、いつ、どの程度の結露が出ているかを記録します。時期、時間帯、天候をあわせて残しておくと、冬型か夏型かの判断がつきます。

屋根の点検:屋根材の劣化、ボルトの錆、既存断熱材の状態を確認します。ヤマトC&Cではドローンによる屋根点検サービスを提供しており、高所や大面積の屋根も安全かつ短時間で状況を把握できます。

対策の選定:断熱の強化だけで足りるのか、屋根の更新まで必要なのか、換気を追加するのかを、点検結果と発生状況から決めます。

工事計画の調整:稼働を止められない建物では、区画を分けた施工や休業日を使った工程を組みます。

施工と確認:工事後、同じ条件の季節に結露の有無を確認し、効果を検証します。

屋根材の劣化が進んでいる建物では、結露対策と屋根の更新を別々の工事として行うと、足場を二度組むことになります。点検の段階で両方を視野に入れておくと、無駄な出費を避けられます。

ヤマトC&Cの結露対策への取り組み

ヤマトC&C株式会社は、創業70年以上にわたって屋根材を手がけてきた専門メーカーです。工場、倉庫、体育館といった産業用建築物の屋根を主なフィールドとし、開発から製造、販売、施工までを一貫体制で担っています。

結露のように、原因が建物の造りと使い方の両方にまたがる問題では、製品を売るだけの立場では答えを出しきれません。現場を見て原因を切り分け、製品を選び、施工まで責任を持つ体制があるからこそ、建物ごとに違う条件へ具体的に応えられます。

▼ 表2:結露対策で提案できる主な製品とサービス
製品・サービス 内容
ソフランスレート 裏面に硬質ポリウレタンフォームを結合した断熱タイプの波形スレート
ヤマトカバールーフ650 既存屋根を撤去せずに高断熱と高強度を実現するカバールーフ工法材
換気棟 動力を使わず湿気と熱を屋根頂部から排出する換気部材
ファイバーコルゲート 独自工法による波形スレート。工場や倉庫の屋根と外壁に対応
ドローン屋根点検 高所や大面積の屋根を安全かつ効率的に調査

工場・倉庫の結露に関するよくある質問

Q
結露と雨漏りはどう見分ければよいですか
A

判断の目安は天候と時間帯です。雨が降っていないのに水滴が落ちる、晴れた日の朝に集中する、屋根の広い範囲でまんべんなく濡れている、という条件がそろえば結露の可能性が高くなります。雨漏りは降雨中や降雨直後に、特定の一点から水が落ちるのが特徴です。判断が難しい場合は点検を依頼してください。

Q
除湿機を増やせば結露は止まりますか
A

局所的には効果がありますが、工場や倉庫の規模では処理能力が追いつかないことが多く、稼働中しか効果が続きません。屋根が冷え続けている限り再発するため、断熱による恒久対策と組み合わせることをおすすめします。

Q
既存の屋根を撤去せずに断熱を強化できますか
A

できます。カバールーフ工法であれば、既存の屋根の上から断熱性のある屋根材を重ねて葺けます。撤去に伴う廃材や粉じんが出ないため、稼働中の建物でも施工しやすい方法です。2004年以前に施工されたアスベスト含有スレートについても、撤去せずに改修できる点は大きな利点です。

Q
断熱材を後から吊るす方法との違いは何ですか
A

後施工の断熱材は初期費用を抑えやすい反面、屋根材との間にすき間が残りやすく、経年で垂れ下がることがあります。すき間があると、そこに湿った空気が入り込んで内部結露を起こす場合があります。屋根材と断熱材が一体化した製品であれば、この問題は構造的に起こりにくくなります。

Q
断熱と換気はどちらを先に手を付けるべきですか
A

建物の条件によります。水蒸気の発生量が特に多い工程を持つ建物では換気の効果が出やすく、発生量は多くないのに屋根が冷えて結露している建物では断熱が先に効きます。実際には両方が必要になる場合が多いため、屋根改修の機会にまとめて計画するのが効率的です。

Q
工場を稼働させたまま工事はできますか
A

施工範囲を区画で分けたり、休業日や夜間に工程を割り当てたりすることで、稼働を続けながらの施工は可能です。カバールーフ工法は既存屋根を撤去しないため、室内への影響を抑えやすい工法です。具体的な進め方は、建物の構造と生産計画に合わせて調整します。

まとめ:結露対策は屋根の断熱と換気から

工場や倉庫の結露は、湿度が高いことだけが原因ではありません。屋根や天井の表面温度が露点を下回るために起こる現象です。この構造を理解すると、除湿だけでは止まらない理由も、断熱が根本策になる理由も一本の線でつながります。

放置すれば、製品の汚損から設備の不具合、建物の腐食へと被害は確実に広がります。対策の中心に据えるべきは屋根の断熱であり、水蒸気の発生量が多い建物ではそこに換気を組み合わせます。屋根材の劣化が進んでいるのであれば、屋根の更新と同時に行うことで足場や工期の無駄を省けます。

ヤマトC&C株式会社は、断熱タイプの波形スレート、ヤマトカバールーフ650、換気棟をはじめとする屋根材を製造し、施工まで一貫して対応しています。建物の用途や工程によって最適な対策は変わりますので、まずは現状の点検からご相談ください。ドローンによる屋根点検で、屋根に上がることなく状態を確認できます。